Canadian Wild Rose
カナダはいま、夏の真っ盛り。空と森がまぶしいほどの青と緑で彩られ、自然の息吹があふれる季節です。夏が短いこの土地では、野に咲く草花の収穫も限られた数ヶ月に集中します。なかでもワイルドローズのハーベストは、毎年胸が高鳴る特別な時間です。

もともとローズが好きということもありますが、バラの原種として知られるワイルドローズは、いわゆるガーデンローズの華やかさとは裏腹に、小さく可憐で、なんとも愛おしい存在です。小さくても香りは最高峰。優雅で、甘い夢心地の香りを漂わせます。開花時期は毎年天候に左右されますが、初夏が近づく5月末から6月初めにピークを迎えます。

今年はご縁があって、日本のワイルドローズにも沢山触れる機会がありました。北海道では、ワイルドローズのことを「ハマナス」と呼びます。色も形もカナダのワイルドローズによく似ているのですが、香りはもっとほのかで、繊細な印象を受けました。
富士山の麓でもワイルドローズに出会いました。いつもは海岸沿いに群生しているイメージですが、ここでは珍しく山の中に咲いていました。この「山のワイルドローズ」は、朝霧高原にあるフラワーレメディ研究所、「テラスフジ」さんの敷地内で出会いました。桜のように小さな花が寄り添うように咲いていましたが、香りはとても華やか。

テラスフジさんでは数ある施術の中から、「花カードセッション」という看板メニューを体験させていただきました。「花カードセッション」は、オーナーの坂本さんのコンサルテーションを受けたあと、39枚の花のカードが並んでいる別のお部屋に案内され、直感で惹かれた花のカードを選びます。選んだ花の意味やメッセージを受け取り、今の自分に必要なものを理解し、日常に生かしていくという興味深いセッションです。
カードが並んでいる部屋に入ると同時に、私の目にすぐさま飛び込んできたのはワイルドローズのカード!「ようこそ!」と挨拶されたような気分になりました。最終的に6枚ほどのカードを選びましたが、やはり一番惹かれたのはワイルドローズでした。
フラワーレメディの世界では、「逆境の中で揺るがぬ強さをそっと授ける」花だそうです。ローズというと「愛情」や「美」が花言葉として有名ですが、「めげない強さ」という逞しいメッセージは少し意外で、でもその言葉を聞いた瞬間、カナダのワイルドローズの姿がふと頭に浮かび、とても腑に落ちました。なぜなら、私の知るカナダの大自然の中に自生するワイルドローズは、いつも強い海風に吹かれながらも、懸命に、そしてたおやかに花を咲かせているからです。

カナダに戻り、毎年訪れるワイルドローズのスポットで、風に揺れながらも凛と咲くその姿を目にして、あらためてフラワーレメディのメッセージに深く共感しました。
今年初めて手にとったワイルドローズの花びら。その香りは、思わず「ワオ!」と口ずさんでしまうほど。どんな香水よりも華があり、力強く、ただただ魅了されるのです。
「自分の住む土地のものに一番愛着が湧く」とは、こういうことなのかもしれません。香りを嗅いだ瞬間、私は「どこのワイルドローズよりも、やっぱりカナダのワイルドローズが一番好きだ」と、心から思いました。
